水とセメントを注入しながら地面を掘ることで生じる泥水を、バックホーを操って処理するのが私のいまの仕事です。季節やその日の天候によって、私たちが向きあう地面はコンディションを変えますから、「昨日と同じ段取り」ではうまくいかず、時々刻々と変わる条件を肌で感じとりながらマシンを操らなくてはなりません。
この“変化"こそが杭基礎の現場施工という仕事の一番の楽しさ、面白さなのです。夏の暑さ、冬の寒さを感じながら、大地と自分がひとつにつながる感覚になれる喜び…と表現すればいいでしょうか。言葉にできないそんな「ダイレクトな手応え」がたまらなく楽しくて。前職のデスクワークで感じていた退屈さはどこにもなく、難条件を克服するたびに「やったッ」という達成感に包まれます。身体を動かす仕事だからこそ、やり遂げたときの満足感がここまで大きいのではないでしょうか。
ひとつの現場は2、3か月ほどで終わり、年間では5~6つの現場で働きます。足立区の自宅から通える場所も多いのですが、遠隔地であれば会社が用意したホテルで暮らします。それは班のみんなと交流を深められる好機。常に残業はなく、夕方にはすっぱりと切りあげられるので、みんなと一緒に食べたり飲んだり、ナイトタイムはとんでもない充実ぶりです(笑)。
杭の施工中にはなかった建物が完成して、それを見たときの感動は大きいですね。「自分の足跡」を地上に残せた気分になれます。将来、子供を連れて自分が関わった建物を見に行くのが夢です。